段位認定と「名取りの銘」

1996年に浅草の流派の規約が改定されてから、さっそく私は自分の成績を申告し始めました。

隔月の例会に欠かさず出席してきたおかげで、最高位の三段まで順調に昇段することができました。これ以上の高段位がないのが残念です…
などと当時は生意気にも思っていたのですが、最近は練習不足ゆえか、だんだん実力が落ちてきてしまいました。三段に必要な「40投で100点以上」を満たせないこともちょくちょくです。もし今、段位の取得に挑戦している最中だったら、こんなに順調には到達できなかったかもしれません。
段位に恥じないよう、今後も一層の精進をしていきたいと思います。

さて、平成9年1月に晴れて初段の「認許証」を頂くことができました。
(段位や級位は点数だけクリアしてればいいわけではなく、立居振る舞いが悪いと却下されたりします。したがって、認許証を授与されるまでは、本当に昇段できたかどうかわからないのです。)
浅草の流派では、初段になった人には「銘」もしくは「号」と呼ばれる名前を与えられます。「しあわせ家族計画」に投扇興の名人として登場していた東都浅草投扇興保存振興会の先生が、二回目の出演の時から「其扇庵夢蝶」と名乗っていたことをご記憶の方も多いかと思いますが、あれが「銘」です。

めでたく入段できた者は振興会に、どのような漢字を使ってほしいか第二希望まで伝えることができます。私はしがないサラリーマンで、腕一本で食べていける職人さんにすごく憧れていましたので、せめて投扇興だけでも人並み以上の力量に成長したい…という願いをこめて「匠(たくみ)」という漢字を希望しました。
確か第二希望は前向きに生きたいという意味で「昇」にしておいたのですが、無事に第一希望を採用して頂きまして、家元の十二代目市川團十郎丈から

其扇庵匠胡(きせんあん しょうこ)

という名前を頂戴することができました。

手続きの関係か、実際にこの短冊を授与されるまでには初段を頂いてから3年近くかかってしまったのですが、無事に頂けた時は感激しました(現在ではもうちょっと期間は短縮されています)。大会などでは名乗る機会もないので、こうしてインターネットで投扇興関係の書き込みをする時などに使ったりしています。