其扇流の扇の規定

投扇興の扇は何でもいいわけではなく、其扇流では次のような規定があります。

以前は一本一本の扇について審査を受け、印を押してもらった扇しか試合には使えなかったのですが、最近では普及が進んで参加者が増えたこともあってか、扇の審査は行なわれなくなりました(1996年11月の例会の時、其扇庵夢蝶先生から明言されています)。
また、大会でも扇の合格印を行司がチェックするようなこともなくなりましたが、それでもこの規格に明らかに違反している(大きいとか骨が多いとか)扇を試合で使ってると 注意を受けるはずです。
私も有段者なので行司を任される立場ですが、見かけたら注意します。その場合は、大会の要項にも書いてあるように振興会が初心者用に用意している、いろんな人に使い込まれてヘロヘロになっている扇を使ってもらうことになるでしょう。
普段練習してクセなどをつかんでいる扇が、大会当日になって使えないというのはかなり不利ですので、たまには自分の扇をチェックしてみるのもいいと思います。

幸い、ほとんどの参加者は、文扇堂や宮脇賣扇庵などで投扇興用として売られている既製の扇(文扇堂では両面張り、宮脇賣扇庵では片面張りが主流です)を使っているため、違反者を見たことは今までありませんが、店によっては「投扇興用」として売っているとしても「其扇流用」は意識してなかったりしますからね。特に、道具に添えられて いる投扇興の遊び方の資料が、源氏物語でなく百人一首だったりする場合は、注意が必要です。そういう系統では、扇の骨が8本でなく10本とか12本だったりしますので、其扇流では使えません。
あと、チームとしての統一扇を作ろう!なんてことになって、地元の扇屋さんに発注したりする時には、この規格をあらかじめ伝えておくとよいでしょう。

前置きが長くなりましたが、其扇流の扇の規定は次の通りです。文扇堂や宮脇賣扇庵で購入したのであれば、この規格はクリアしているはずです。
ちなみに、枕と蝶に規格があるかどうかは確認していないのですが、文扇堂と宮脇賣扇庵の枕および蝶は、サイズ的には全く同じようです。

ちょっと文字が見づらいかもしれませんので補足します。

総 丈:257±3mm
地 丈: 93±3mm
替 幅: 36±2mm
間 数: 8
重 さ: 20グラム以内
 面 :両張りまたは片張り

【参考】
目 丈: 22mm
開 き:420±10mm


さらに、絵をもとに補足しますと…

開き
扇を目一杯開いた時の、端から端までの直線距離のことです。枕から座布団までの距離を「開いた扇4つ分」として測る時に使うあれですね。 それの基本が420mmってことは、扇4つ分は1680mmにもなってしまいますが、自然に開いた状態の扇というのはべったり平らなわけではありませんし、±10mmの下限の41cmの4倍が164センチですから、普段使っている「160cm前後」という距離は多少短いものの、 大きく外れてはいないのでしょう。
そもそも、この値は「参考」となっているので、「規格」には含まれていないのかもしれません。

すでに終了してしまいましたが、投扇興の知名度を一気に引き上げてくれたTBSの番組「しあわせ家族計画」に其扇庵夢蝶先生が出演なさってた頃、番組内では扇と座布団までの距離をシンプルに「160cm」と明言していました。
また、浅草の例会でいつも使っている緋毛氈には、枕や 座布団の位置を示す黒いビニールテープが貼ってあるのですが、メジャーを持ってって一度測ってみたところ、その実測値は163cm〜164cm程度でした。
自宅などで練習する時に、160cmという短い距離に慣れてしまっていると、試合当日に戸惑うかもしれませんので、普段からちょっとだけ長めに設定しておいた方がいいかもしれません。

総丈
親骨の端から端までの長さです。親骨とは両端の2本の骨で、それ以外の6本の骨は「中骨」と言います。

地丈
要(かなめ)のピンから地紙を張ってある部分までの長さです。地紙を張ってある部分を「面」と言うのですが、この部分の長さの名称はこの紙には見当たりません。

目丈
要から、扇の骨の小さい方の端までの距離。総丈から目丈と地丈の長さを引いた値が、面の長さになるわけです。

替幅
扇を畳んだ時の、最も広い部分の幅です。扇をパタパタ畳むと、骨がある部分とない部分が交互に来て、面が全部で15の部分に折られているのがわかりますから、要するに扇の外周の弧の長さはほぼ替幅の15倍ってことになります。


豆知識:各部分を、扇を人の体に見立てた名称で呼ぶことがあります。

要で綴じられた扇の端の部分を「顔」、あと地紙の角(朝顔と夕顔の境界と親骨の交点)を「肩」と言うそうです。