真木柱は、枕にかかった扇の要のあたりから蝶が宙吊りになった形です。
このうち、蝶の翼や錘(おもり)ではなく、鈴(ひも)がからみついて吊られた形は、特別に50点が与えられます。
なお、この加点規定は「御法」の形には適用されませんので、ご注意ください。
下の写真は、2002年7月の浅草の例会において、瓦落多連の「ヘヴン」さんが、何と10投中の1投目に出したものです。それだけで一気に50点というわけですね。相手の方はいきなり戦意を喪失したのではないでしょうか。
続いてこちらは、2002年8月25日に投扇菴で行なわれた赤坂連の例会で、私が運良く出したものです。よく見ると、他の真木柱とは異なり、蝶が扇の裏側にぶら下がっていることがおわかりかと思います。
「真木柱」の帖の内容から推察すると、枕や扇を「柱」に、蝶を「指し込んだ手紙」に見立てるのであれば、こちらの方が本来の真木柱の形と言えるかもしれません。
この時、扇は一瞬だけ枕の上に乗りかけていたので、もしそのまま澪標の状態になっていたら、生まれて初めての「篝火」になる所でした。
上記のような典型的な形だけならいいのですが、他にも真木柱が適用される微妙な形がいろいろあり、行司泣かせになっています。
というのは、若菜下や空蝉とも思えるものの、蝶が枕の上からかなり飛びだしていると真木柱とかなり紛らわしいからなのです。しかし、真木柱とすると
一気に30点になりますので試合では勝敗への影響が大きすぎて、慎重にならざるを得ません
たとえば、次の2枚の写真のような形をどう判定したらよいのでしょうか。

(例1)
(例2)
「蝶が扇の要から吊られる」という真木柱の本来の定義からしたら、蝶が一部でも枕に触れてたら駄目なようにも思えますが、「蝶の重心を含む大部分が扇にかかり、もし扇がなかったら枕から落ちてしまう形は真木柱」です。
したがって、まず(例1)は真木柱になることがおわかりでしょう。もしかしたら扇をそっと外したら花宴状態になるかもしれませんが、この場合は「花宴状態の枕と蝶」+行幸、ではないので空蝉ではありません。蝶が「枕にかかった扇の上から」かぶさっているので、真木柱に取るしかないということになります。
一方、(例2)の写真は、十分に蝶が枕に残っており、扇がなくても蝶が落ちない形ですので、「初音」で9点どまりです(2013年までは「若菜下」で8点でした)。
以前は「扇をどけてみて蝶が落ちたら真木柱」とされていましたが、行司の扱い方が少々荒っぽいだけで簡単に蝶が落ちてしまいますし、高得点の「30点」が頻発してしまうので、2013年の新銘定の検討の支部代表者会議において「今後は手でどけてみるという判定はしない」との申し合わせがなされました。
他にも複雑な例がいろいろ出ています。其扇流で一番判定が難しいのが、この真木柱であることは間違いないでしょう。
普通、枕と扇の間に蝶がはさまっている形は空蝉なのですが、このように蝶の錘(足)じゃなくて翼の部分でぶらさがっている形は迷う所です。しかし、試しに手でやってみればわかりますが、扇がなく枕と蝶だけだったとしたら、このような形で蝶がぶら下がる事はありえません(蝶が自重に耐えきれず、確実に落ちます)。
したがって、これは扇によって蝶が支えられている形ですので、真木柱となります。むしろ、前述の「真木柱の本来の見立て」からは、こういう形なら蝶の向きに関わらず「真木柱」にふさわしいと言えるでしょう。
そして、極めつけがこれ!

(情報および写真提供・立川談幸師匠)
扇がなければ蝶は確実に落ちますから間違いなく真木柱なのですが、なんと、枕に触れずに立っている扇と枕の間に蝶がぶら下がっている…いわば、「蝶による夢浮橋」のような奇跡的な状態です。こんなのが出ることもあるんですねえ!
そしてこれと全く同じ形が、2005年5月28日に私の所属連の例会でも出現しました!出したのは其扇庵雄扇さんです。
他にも、こんな形もありました。

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