野分(のわき)

過料20点、但し蝶が立てば無点

野分とは「二百十日」前後に吹き荒れる暴風・台風のことで、その名の通り、枕が倒されてしまった状態を言います。

野分

通常は、「コツリ」より強めに扇が枕に当たった衝撃で倒れた結果であることが多いのですが、扇が直接枕を打っていなくても、真木柱の状態で枕にかかった扇と蝶が、その重みで枕を倒してしまうことがごく稀にあります。 そのような、いわば「不可抗力」とも言うべき場合でも、やはり見立ての上から 野分に取るのだそうです。
もともとは「大事なお道具を痛めた」ことに対するペナルティで、つまりコツリと同じ扱いです。古文書では、枕を倒したわけじゃなくても、例えば扇によって蝶の鈴ひもが切れてしまったような場合でも厳しく野分に取っていた時期もあったようです。現在の其扇流では、そういうケースまではおとがめなしです。

野分でマイナス20点ということになると、いわば自殺点のようなもので、たいていの試合は逆転負け(野分を出しても勝ってしまう強者もいますが)になってしまいますが、もしも蝶が立った場合には、

野分だけど蝶が立った形

過料は取り消され、単なる無点となります。

なお、よく「コツリの結果、揺れた枕から落ちた蝶が立った」時に「野分のように、過料1点が取り消してもらえるのか」と言われることがありますが、コツリの方にはそのような規定はありません。あくまで野分だけの特例です。


2008年3月31日追記)
3月29日のじゃが連さんの例会(合宿)で「かおり」さんが、ついにこの「野分で蝶が立った形」を達成しました!
私はたまたまその瞬間を目撃したのですが、あの野分独特のスローモーションな感じで枕が倒れた直後に蝶がスッと立った時には鳥肌が立ちました。

野分だけど蝶が立った形

枕が倒れてなかったら(ちゃんと扇が蝶に当たっていたら)「明石」になったんじゃないかと思えるほど、扇と枕と立った蝶がきれいに一直線に並んでいます。
しかも練習中ではなく試合での出来事で、かおりさんの最終得点は20点。もし野分が普通に「過料20点」だったら、全くの無点になるところでした。