夢浮橋(ゆめのうきはし)

50点

夢浮橋は、立った蝶と枕を支えとして、扇が橋をかけた形です。
つまり、ただでさえ難しい「桐壺」に輪をかけた、究極の難しい形。扇が地に少しでも触れてはいけません。

夢浮橋

「しあわせ家族計画」で名人として何度も出演して有名になった其扇庵夢蝶先生も、平成12年8月1日にTBSの「はなまるマーケット」に出演された時に、「私は20有余年やっているが、 一度も成功したことはありません」とおっしゃっていました。私も一生の間に一度でも、たとえ自分が出すんじゃなくてもいいから、この目で見てみたいものです。

この難しい形を成功させたという話を私の周囲で伺ったのは2回だけで、いずれも試合中のことではないばかりか、かなり少人数しか目撃していないのが実に惜しいです。
まず、2002年6月9日に「帝(みかど)の会」と銘打って東京・赤坂で行われたミニ大会でのこと。試合開始前の練習中に、胡蝶連所属の女性が若紫のような形を出しました。扇が枕にかかっていて蝶にも触れており、その蝶が斜めに立っていたので、「ちゃんと自立しているのか」確かめようとして、蝶の上から触れていた扇をそっとどけてみたところ、蝶が斜めながら自力で立っていたので、「これは若紫ですね」でいったん終わったらしいのですが、「よく考えたら、(どけてみる前の)扇が緋毛氈に触れてなかったのでは…」「もしかして夢浮橋だったのか…!?」ということになったのだそうです。
もし私がその場にいたらこの目で見ることができたのでしょうけど、あいにく私はちょっと会場到着が遅れてしまって、その試合前の練習のうちには間に合わなかったんですよね。惜しいことをしました。

続いて今度はちゃんと蝶が自力で立った完璧な形。でも公の場ではなく、個人の自主トレ中でのことでした。
2007年10月28日、其扇庵海宴さんが奥様と一緒にご自宅で練習していたら、見事に「桐壺」が出ました。いや…
桐壺と思った瞬間に、扇子が傾いてゆっくりと落ちてゆき蝶の頭で支えられました!
扇子が地に着いていないかチェックしたところ浮いていましたため「本当に夢みたい」と奥様と大騒ぎになったのだそうです。
その貴重な写真を頂きましたので、ご紹介します。

うーん…やっぱりそうなんだ…。
このページの先頭に載せた、私の撮った写真のように、世の中にあるほとんどの「これが夢浮橋です」という見本の写真は、なるべくきれいな「橋」の形にしようとしてか、扇の重心があまり枕にかかっていないものが多いように思いますが、現実に出る可能性があるとしたら、やはりこういう「桐壺崩れ」みたいなパターンでしか現れないのかもしれませんね。
いずれにしても、非常にうらやましいです。出せなくてもいいから、その場に居合わせて、自分の目で見てみたい!


あと、こちらは残念ながら其扇流ではないのですが、其扇流と同じ規格の道具・ほぼ同じルールと銘定で行われている「日本投扇興連盟」の赤坂連の2017年3月12日の例会にて、和知昭洋さんが「大江山」を出したとメールで連絡してくれました。これが其扇流で言う所の夢浮橋そのものなのです。

そうか、夢浮橋ってこういう形もあり得るんだ…と認識を新たにしました。


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