都御流の道具

道具は、京都の「宮脇賣扇庵(みやわきばいせんあん)」で売られている物を使用しています。浅草の文扇堂のとサイズや骨の数は同じであるものの、地紙が片面貼りのため、飛距離は長くありません。というのは、紙のない側のむき出しの骨は空気抵抗を大きくするためか、あおられてしまって投げた直後に失速しやすいのです。
(なお、宮脇さんでは、両面貼りの注文にも応じて頂けます。)
都御流では的までの距離が短いため、これでも十分なのですが、浅草の試合で使うには少々苦労します。しかし、高得点を挙げるためには下手に飛びやすくなっているより、的の付近でうまく失速することが大事なため、あえてこの京都の扇を浅草の試合に使っている愛好家も少なくありません。

さて、扇の他にも、一見よく似ている都御流と浅草の道具には、次のような違いがあります。厳密には、どちらがどちらの道具を使わなければならないということもないようなので、便宜的に宮脇賣扇庵の道具を「西」、文扇堂の道具を「東」と書いて対比してみます。

西
片側から投げるので、片面のみに柄がある 両側から向かい合って投げるため、両面に柄がある
片面張りのため、遠くまでは飛ばない 両面張りのため飛びやすい
得点表
(点式)
源氏物語形式の54種類 以前の26種類から現在は40種に拡張

得点表については単に種類の数が違うだけではなく、それぞれの点数、さらには解釈も微妙に異なっています。詳しくは「銘定」の項をご覧ください。

ところで、都御流で使う扇にも浅草のように厳密な規格があるのかどうかは、まだ確認していません。
宮脇賣扇庵の扇を浅草で使うことは問題ないのですが、逆に文扇堂の(飛びやすい)扇を都御流の試合で使っていいかどうかはわからないのです。
機会があったら、ぜひ聞いてきます(←こればっかですが(^_^;))。蝶についても、両面に柄があるものを普通に使っていたという話も聞いており、上の比較表はあまり正しくないかもしれません。一番の違いは道具ではなく、試合形式に尽きるでしょう。逆に言うと、道具の面でここまで互換性のある流派は、浅草と都御流くらいです。