埼玉県立歴史と民俗の博物館

埼玉県さいたま市(旧・大宮市の地域)にある氷川神社は、全国に200社ほどある氷川神社の中心です。そもそも、この氷川神社の本宮があったために「大宮」という地名がついたのだそうです。
その氷川神社の隣にある埼玉県立歴史と民俗の博物館では、毎年1月に投扇興を公開しています。
年によって浅草の形式と道具で行なわれる場合もありますが、本来は全く別の物が使われます。

大宮の蝶 逆三角形の蝶!

まず左側の写真の道具についてですが、大きい方の枕の高さは浅草の物とあまり変わらないものの、蝶をのせる上面の面積は大きく、また蝶もやや大きめで古めかしい感じがします。枕は非常に古いもののようです。
小さい方の枕は、上面の形が長方形になっており、面積はやや小さめです。

蝶は、場合によっては右のような逆三角形の珍しい物が用いられたり、あるいは「投扇之記」などの古文書にあるような「和紙で硬貨数枚を包んで」作るという全くの手作りの的(こちらではと呼ぶようです)が用いられることもあります。
扇は文扇堂で売られているものと同じようです。

1998年3月4日付の埼玉新聞の記事によりますと、(旧坂東家住宅)見沼(みぬま)くらしっく館で投扇興の体験講座が開かれたそうです。この時の記事では「蝶は和紙製で古銭を重りにした、羽根つきの羽根のような形」とありますが、いくら何でもこの時の投扇興のためにわざわざ古銭を使うとも思えず、おそらく参考資料の説明をそのまま書いたのではないかと思います。
同じく、2001年1月28日などにも、この見沼くらしっく館で「投扇」体験講座があったそうで、けっこう定期的に行なわれているようです。同年2月21日には、NHKニュースの中で視聴者ビデオの形で紹介され、この時は確かに「おひねり」の形の大きな的が使われていました。赤い色から、確かに「花」という感じのする的でした。また、的台の上面は確かに長方形になっていました。

どのような的だったかを、私の下手な絵でトップページのアイコンとして表示してみましたので、ご参照ください。いずれ実際に取材してくる機会があったら、ぜひ写真も撮ってきます。
(ほか、埼玉県立嵐山(らんざん)史跡の博物館でも投扇の体験講座を行なったりしているようです。)


以前の「埼玉県立博物館」は、平成18年4月1日、埼玉県立民俗文化センターと統合し、「埼玉県立歴史と民俗の博物館」として生まれ変わりました。
また、「埼玉県立歴史資料館」も同日、新たに「埼玉県立嵐山史跡の博物館」としてスタートしました。