真木柱(まきばしら)
30点、但し鈴がからめば20点増しで50点
真木柱は従来通りです。枕にかかった扇の要のあたりから蝶が宙吊りになった形です。
このうち、蝶の翼や錘(おもり)ではなく、鈴(ひも)がからみついて吊られた形は、特別に50点が与えられます。
なお、この加点規定は「御法」の形には適用されませんので、ご注意ください。
この「50点」という技には、ほかに篝火と夢浮橋がありますが、難易度で言うと、この「鈴がからんだ真木柱」の方がまだ多いです。多いと言っても年に何回もあるわけじゃないですが。
夢浮橋なんて目撃談を聞いたことすらないのに、この「鈴がらみの真木柱」は私だけでも既に4回も記録しています。これが出ると、10投の得点も70点台とか80点台になって、とんでもない記録が出てしまいます。
ところで、この真木柱は、けっこう判定に迷うケースがあります。というのは、若菜下や空蝉とも思えるものの、蝶が枕の上からかなり飛びだしていると真木柱とかなり紛らわしいからなのです。しかし、真木柱とすると
一気に30点になりますので試合では勝敗への影響が大きすぎて、行司泣かせになっています。
たとえば、次のような形をどう判定したらよいのでしょうか。
「蝶が扇の要から吊られる」という真木柱の本来の定義からしたら、蝶が一部でも枕に触れてたら駄目なようにも思えますが、「蝶の重心を含む大部分が扇にかかり、もし扇がなかったら枕から落ちてしまう形は真木柱」です。
したがって、まず左の写真は真木柱になることがおわかりでしょう。もしかしたら扇をそっと外したら花宴状態になるかもしれませんが、この場合は「花宴状態の枕と蝶」+行幸、ではないので空蝉ではありません。蝶が「枕にかかった扇」の上からかぶさっているので、見立ての上
からは間違いなく真木柱ということになります。
一方、右の写真は、十分に蝶が枕に残っており、扇がなくても蝶が落ちない形ですので、単なる若菜下で8点どまりです。実際の判定に際しては、念のためにそっと扇を外してみてもいいですが、はずみでもし蝶が落ちてしまったら二度とその形は再現できないわけですから(^_^;)、
明らかに若菜下だと思ったら(つまり、これで真木柱はいくら何でも高すぎると思うなら)行司の裁量で「若菜下」とすばやく判定してしまってもよいと思います。
さて上の写真。普通、枕と扇の間に蝶がはさまっている形は空蝉なのですが、このように蝶の錘(足)じゃなくて翼の部分でぶらさがっている形は迷う所です。しかし、試しに手でやってみればわかりますが、扇がなく枕と蝶だけだったとしたら、このような形で蝶がぶら下がる事
は ありえません(蝶が自重に耐えきれず、確実に落ちます)。したがって、これは扇によって蝶が支えられている形ですので、真木柱となります。

(情報および写真提供・立川談幸師匠)
そしてきわめつけがこれ! 扇がなければ蝶は確実に落ちますから間違いなく真木柱なのですが、なんと、枕に触れずに立っている扇と枕の間に蝶がぶら下がっている…いわば、「蝶による夢浮橋」のような奇跡的な状態です。こんなのが出ることもあるんですねえ!
他にも判定に迷う形が現われるかもしれませんが、だいたい以上のような方針に沿って行司が銘定してください。
